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2006年 01月 20日

今村昌平 『 復讐するは我にあり 』

今村昌平 『 復讐するは我にあり 』_e0021191_2163215.jpg■復讐するは我にあり (1979/日)
[Drama/Thriller]
製作 井上和男
監督 今村昌平
脚本 馬場当
原作 佐木隆三
撮影 姫田真佐久
美術 佐谷晃能
音楽 池辺晋一郎
出演 緒形拳 / 三國連太郎 / 小川真由美 / 倍賞美津子 / 清川虹子 / ミヤコ蝶々 / 白川和子 / 殿山泰司 / 絵沢萠子 / 根岸とし江 / 河原崎長一郎 / 加藤嘉 / 浜田寅彦 / フランキー堺
allcinemaにて詳しい解説とストーリー

●脳みその中で、性欲をつかさどる所と暴力的な意識をつかさどる所は隣り合わせ(または近く)にあるらしく、その為レイプみたな事でしか性欲を放出できない人がいるわけだし、ガキンチョに性的なものを与えると攻撃的意識がついてしまうとか言って年々少年エロ漫画の肩身が狭くなっていったり、自分と正反対のドS浜田がいたりする。

この映画、というより今村監督のすごいところはセックスシーンにしても殺人のシーンにしても、観てるこっちが戦々恐々してしまうほどリアルに描けるところだと思う。この映画の最初の殺人のシーンの迫力がすごく、観てるだけで殺し・殺される痛さを感じるし、実際に殺す人または殺される人はこんな風な行動・嗚咽をとるんじゃないかと思わせるほど。そんでもって、セックスシーンが沢山出てくるんだけど、それが映画の流れと合間ってすごく肉欲的。もちろん、一般的には映画で流れるセックスシーンなんて偽装的に美しく描かれているものがほとんどだけど、今村監督はそういうやわなことは絶対にしない。とにかくその辺のカップル・夫婦が家でセックスしてるような現実的なある種下品なエロさを感じる(なぜかそういうののほうが観てる分には興奮したり)。映画でありながら・物語でありながら、リアリズムな作りをするのが今村監督のすごいところだといつも思う。また、この映画での榎津巌役の緒形拳の獣のような狂気溢れる演技がすさまじい、本能のままの性欲と暴力が混在している・いやそれしか存在しないような感じ。だから、観てて憎らしさを感じるし、他人に親切に接していても何か裏切りがあるんじゃないかと(実際あるんだけど)観てて勘ぐってしまう、そう思わせる演技はすばらしい。ただ残念なのは、冒頭からいきなり殺人シーンになり・・・つまり動悸ってものがわからないままに進んで、その後幼少時になり彼の歪みや大人になってからの親と妻の関係等々により狂気溢れる人格になって殺人を犯すようになっていく・・・と僕は考えたんだけど、それになぜかキリスト教がかかわる。映画の題目も新約聖書からの引用らしいけど、そんなのはどうでも良いとして(?良くないな)、それが違和感があったりもする。その後の逃走劇はそれなりに面白いけど、その狂気溢れる雰囲気の一定度に飽きたりもする。とにかく、偽りとセックスと殺人が入り混じり、それがリアルで変な恐ろしさを感じる映画。

ということで★★★。なんかさ~、僕は『うなぎ』と『赤い橋の下のぬるい水』しか観てなくて、その雰囲気を期待してたのに、まったく違うものだった・・・セックスシーンはみんなリアルだけど。でもこの映画を観ると、北野監督の暴力なんて甘っちょろいと思える。

by nyankoronica | 2006-01-20 01:18 | 映画- 日本


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