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2007年 11月 02日

松尾スズキ 『 クワイエットルームにようこそ 』

松尾スズキ 『 クワイエットルームにようこそ 』_e0021191_20285626.jpgクワイエットルームにようこそ (2007/日)
Welcome to The Quiet Room
[Drama]
製作総指揮 豊島雅郎 / 山田晴規 / 長坂まき子 / 北川直樹 / 森元晴一
製作 今村景子 / 菅原直太
監督 松尾スズキ
脚本 松尾スズキ
原作 松尾スズキ
撮影 岡林昭宏
美術 小泉博康
音楽 門司肇 / 森敬
出演 内田有紀 / 宮藤官九郎 / 蒼井優 / りょう / 妻夫木聡 / 大竹しのぶ / 中村優子 / 高橋真唯 / 馬渕英俚可 / 筒井真理子 / 宍戸美和公 / 平岩紙 / 箕輪はるか / 塚本晋也
goo映画にて詳細

●どうなんでしょう。毎日更新してて、しかも駄々長い文。恥かしげもなく感情をさらけ出し、世の中の事まで語っちゃったりしてる。やれ感涙しただの、やれ00が素晴らしいだの、やれオナニーしただの・・・こんな自意識過剰なブログを読んでいる人がいるのかはいまだ確信が持てることはないんだけど、もしこのテンションがわからず初めて見た人がいたとして、「なんだよこいつ、アホじゃねぇ~の、気持悪い」なんて思う人は絶対いると思うんだよな。そうなると、僕はその人から見れば・その人の社会的感覚からすれば、ある種異常であるわけだ。いや、良いんですよ、僕自身が異常だと思ってるし、そう思いつつも文章で発散することが気持良いから毎日やってるわけだし。また鑑賞した音楽や映画をどこかに留めとかないのはもったいないから、その場所がたまたまここだったってのは事実でもある。やはり、こういうことを書くこと自体が異常なわけなんだけど、この映画観て改めて思ったけど、正常と異常のの違いがほんとわからないなと思った。

例えば、ちょっと前に騒がれた騒音おばさんっていたけれど、あれはテレビでは正気の沙汰とは思えないように世の中に流されていて、そのヒップなリズム感の良さもさることながら、いかにもイカレテしまって世の中に大迷惑をかけているババアってことで定着してしまった。しかしながら、背景をちょっと調べるとすごくそうなった要因が明らかであり、正直「それだったら、オレもそうなるかもね」なんて変な同情の念まで持ってしまうほどだった。もちろん、それが真実かどうかはわからないけど、脊髄小脳変性症って言う不治の遺伝病で子どもたちを亡くしていたりする。しかも要因は父方(おばさんの旦那)のようで、おばさんだけがその症状を持たない。そして、旦那も子どもも徐々に苦しみながら弱っていく様を、一人だけ健康な自分が見るわけで、そういう精神状態でイカレナイ方がおかしいじゃないかと思うほど。その時に、どっかの宗教所属の近所の夫婦が、ビデオまわしていたりしてた(本当は、最初の原因も何かあったのかもしれないけど、はっきりはしてない)。結局は、世の中やっちゃったもんが負けるわけで、誰もその要因を知ろうとする機会はないし、またテレビ等では面白みがないから突っ込もうともしない。すべて、普通と違う行動・言動・態度をしてしまった者が、世の中の社会常識から外れているとされ、異常者に扱われてしまう。

だから、この映画を観て、ほんとうに正常と異常の違いがますます分からなくなったし、結論としては世の中の温度ではなく自分の範疇において判断せざるをえないことであり、またその範疇を広げないと、なんでも自分と違うものを異常と判断してしまうじゃないかと、結構怖かったりする。まあでも、正常か異常かはお医者様が決めることであるんだろうし、また精神に影響を与えている脳みその一部が正常に働かない・また欠落しているってな、医学的なことなんだろうなとは思う・・・その辺は難しくてわからない。

鉄雄(宮藤官九郎)明日香(内田有紀)と精神病院にいる人たち、どちらがイカレタ行動をしてきたかと言うと前者であるように映画では表現されていて(いや、僕が思っただけか)、また前者の視点(正常と思っている人間・また脳みそに異常をきたしてない側)でこの映画は進むわけなんだけど、例えば明日香が不眠になった背景にしてもそうであるだけど、誰しもがバランスを崩してしまうってことはよくあることとして、それ以上の人たちが閉鎖入院が必要ってことになっているのかなとは思った。ただ、僕にはバカ騒ぎをすることに快感を感じ・またビール飲みまくって部屋をちらかし、ドラッグまでやってしまう二人の方が、ミキやサエよりも異常に思えた。だから、あまり明日香には同情の念も思いいれもなく、むしろ救いが少ないのはミキやサエの方じゃないかと思ったりもした(いや、脇役の病人たちはもっともっと救いが救いけど)。

サエはあまりに無垢すぎて、その無垢さが痛々しいくらいだった。天才肌なんだろうか、繊細すぎて外部の情報を遮断してしまったって感じ・・・だから、成長できない。ミキは、とても多数の中での自分を絶えず気にしているように思えて、だからオシャレも完ぺきだし、また明日香が楽しくみんなと踊っている時の寂しい顔をしたりする・・・だから、そういう想いににならないですむサエと仲良くしていたりする。どちらも拒食であるけれど、これをどうしたらバランスを正常にできるのかは、映画ではあまり表現されていなかったし、またすごくすごく難しいことだと思う。そういうのを知ってか知らずかの明日香の存在があるわけだけど、その視点を通してみた感じでは、何も変化を与えることは出来ないのだろうし(もちろん、向こう側が何かを受け取ってくれるって事はある)、深く関わらないほうが良いってことになっちゃうんじゃないかと非常に寂しい気分になった。

二十歳くらいのころバイト先に新しく入ってきた高校卒業したての女の子がいたけれど、その娘はバイトなのに煌びやかな格好をしてくるわけ。エルメスの時計だったりヴィトンのリックだったり、髪はアップにしてきたり。けれども、彼女は野菜が食べられずリストカットをし、また母親との関係も芳しくなかったようだし、話した感じではなんつーかなちょっと他の女性とは息が合わないじゃないかなって感じはあった。実際(その偽りと判断されてしまう)女の子らしさは、他の女子たちには評判悪かったし、そういう輪の中で自己主張するタイプでもなかった。結局は、そのブランド品が彼女のバランスと取る道具であったわけで、その時はあまり分からなかった部分はあるけれど、大変だったんだろうなと思ったりもする。「野菜食べたら500円あげる」とか言ってた記憶あるけど、アホな対応してたなと今は思う。なかなか、一度バランスを崩した人がつりあい取れるようになるのは難しいと思うけど、ブランド品揃えたとしても、自分の性質はなかなか変えられないわけだから、それを進めるというドツボに嵌るパターンってこともなきにしもあらずだし。その彼女は美容師を目指していて、僕の知り合いと付き合ってたけれど、今どうなったんだろうか、非常に気になる。

良いシーンは、サエちゃんが間食して看護婦が泣く所、これはもらい泣きした。『恋の門』では重ねすぎだったユーモアも、今作では非常にバランスがよくて、また夢のシーン・蕁麻疹のシーン等々で入るちょっとした映像のトリックも、なぜか今作は違和感がなかった。つまり、ある程度の押さえが利いてて、内容の邪魔になってなく非常に観やすかった。★★★★☆。つーかよく分からないけど、人と付き合うことはうっとおしいことだと思うんだけど、それを乗り越えられなかった鉄雄は、それまでの男だったってことなんだろうか・・・明日香は楽しみだけじゃないことも理解できたんだろうから、それがなんかすごく救いに思えた。

by nyankoronica | 2007-11-02 00:00 | 映画- 日本


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