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2008年 10月 16日

クリスティアン・ムンジウ 『 4ヶ月、3週と2日 』

クリスティアン・ムンジウ 『 4ヶ月、3週と2日 』_e0021191_22212824.jpg4ヶ月、3週と2日 (2007/ルーマニア)
4 luni, 3 saptamâni si 2 zile
4 Months, 3 Weeks and 2 Days
[Drama/Thriller]
監督 クリスティアン・ムンジウ
脚本 クリスティアン・ムンジウ
撮影 オレグ・ムトゥ
美術 ミハエラ・ポエナール
出演 アナマリア・マリンカ / ローラ・ヴァシリウ / ヴラド・イヴァノフ / アレクサンドル・ポトチェアン / リュミニータ・ゲオルギュー / アディ・カラウレアヌ
goo映画にて詳細

●『4ヶ月、3週と2日』を観る。とても素晴らしい映画だった。観てて息が詰まる。下手すると生きていることが無意味に思えてしまうほど、薄暗くてどことなく貧しさを感じるルーマニアの街並み。80年代末が舞台だけど、独裁政権できっと東側の国であった時のことなんだろし、何でもで中絶を禁止していたと言う背景もあるらしい。『ジュノ』って映画が話題になったのも、宗教的な問題が絡んでいたからなんだろうけど、それを排除しても、『4ヶ月、3週と2日』は、動物から人間になって、女性が一番苦しむところであっただろう、望まない妊娠について、これほどまでに焦りと虚しさと悲しさと・・・(下手すらこうなってしまう可能性があって)重い役割りを背負って生きているだなと、無知な僕が思ってしまうほどだった。

この映画とAVを同等に扱うのはかなり間違っているけど、最近のAVの傾向は、所謂中出しってのは当たり前になっている・・・多分、ネットで無修正画像が当たり前になって、その後無修正AVが主流になってからなんじゃないかとは思うけど。確かに、それを見て行為をしてしまうわけだけど、終わって、ふと、大丈夫なんだろうかと思うことはよくある。結局、この映画を観て、一番僕が虚しいと感じたのは、そんな自分であり、この映画では妊娠させた男は出てこないんだけど、それは観ている男どもにそれを想像される意図はあったんじゃないかと思う。

この映画がネタとしてはありふれていることを、ここまで上手く作られている最大の要因は、第三者の目線で進んでいることにあると思う。妊娠した子のルームメイトが、禁止されている堕胎の準備をするわけなんだけど、その過程において、彼女の表情から感じられる焦りと虚しさと悲しさと・・・が、どうしても自分に投影されてしまう。そしてその展開はサスペンス映画のように不透明であるし、また第三者の彼女自身も、壊れてしまうんじゃないかと言う不安定さ・怖さも絶えず見える。彼氏の母親の誕生日での、彼女の虚無な表情がすごく印象に残る。

ん~なんだろうなこの虚しさは・・・そもそも人間も動物と同じように、自分の遺伝子を次に繫げることが最大の役目であるはずなのに。無知で僕には分からない所が多いけど、妊娠している子の無知さに虚しさを感じる演出にも引き込まれる。★★★★☆、結論としては、AV&行為もやはり必要かと。

by nyankoronica | 2008-10-16 01:03 | 映画- ヨーロッパ


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